大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

耳成駅〜大和の入口に立つ、静かな帰郷の駅

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奈良県橿原市石原田町にある耳成駅(みみなしえき)は、近畿日本鉄道(近鉄)大阪線の駅である。開業は1923年(大正12年)12月5日。大和八木と大福のあいだに位置し、耳成山のふもとに広がる住宅地を静かに見守ってきた。

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かつては農村地帯の中にぽつりと佇む小駅だったが、戦後の宅地化とともに通勤・通学の駅として発展。

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いまでは1日平均乗降人員およそ3,500人前後、橿原市東部の人々の暮らしを支える小さな拠点である。

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ホームに立つと、大和三山(耳成山・畝傍山天香久山)が並ぶ。そのうちのひとつ、耳成山(みみなしやま)は標高139メートル。小さいながらも、裾野がやわらかく広がり、どの角度から見ても美しい円錐形をしている。

耳成駅のホームからは、その姿が最も間近に見える。朝の通勤列車の窓越しに、山の稜線が淡い光を受けて浮かび上がるとき、この地に根づく時間の深さを感じる。

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駅の南口を出ると、まっすぐに伸びる小道。昔ながらの木造家屋と新しい住宅が混じり合い、道端には花を飾る家もある。踏切の向こうには、夕方の光を受けて光る瓦屋根。人の気配は少ないが、どの家にも静かな暮らしの温度がある。

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30歳で上京し、12年を新宿で過ごした。深夜バスで京都に戻り、そこから近鉄線に乗り換えて桜井へ向かう。長い夜を越えて列車が奈良盆地に入るころ、窓の外に耳成山の姿が見えた。まだ両親にも弟にも会っていないのに、その山影を見ただけで、もう「おかえり」と言われた気がした。

朝の陽が斜めに射す車窓の光、田畑の間を抜ける鉄路の音、どれもが、かつての日常に続く道のように思える。

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耳成駅は、観光地でも主要駅でもない。けれど、帰る人の心を静かに迎える場所だ。

発車のベルが鳴り、電車が動き出すと、ホームの向こうに再び耳成山が見える。その姿はどこか懐かしく、しかし確かに「いま」を生きている。言葉にできない“ただいま”の気配が、この駅にはある。大和の入口に立つこの小さな駅は、旅人を迎えるよりも、心を帰らせてくれる場所なのだ。

「あすか湯」に寄ろう

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奈良県橿原市にある「あすかの湯」は、2001年11月26日に開業した日帰り温浴施設。館内には14種類のお風呂と3種類のサウナを備えた癒やしが待っている。地元住民にとっては日常的に利用できる癒やしの場であり、観光客にとっては歴史探索とあわせて立ち寄れる憩いのスポット。開業から20年以上を経た現在も、多くの人に愛され続ける温泉施設である。

 

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