大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

東川酒店〜蔵元直送の息吹を届け、奈良・御所を丸ごと味わう酒蔵の窓口

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奈良県御所市の旧市街「御所まち」に、地酒を愛する人々を魅了する老舗の酒屋「東川酒店」がある。駅から近く、近鉄御所駅から徒歩5分、JR御所駅からは徒歩3分。御所まち商店街の一角に位置し、地元と旅人をつなぐ玄関口のような存在になっている。

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店の外観は、格子戸を備えた落ち着いた町家風。のれんや酒樽が置かれ、足を止めずにはいられない趣が漂う。

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中へ入ると、冷蔵ケースには酒蔵直送の地酒がずらりと並び、壁一面の棚には百楽門、篠峯、櫛羅、そして全国に名を馳せる「風の森」が整然と顔を揃える。ラベルの一つひとつが、御所という土地の物語を映しているかのようだ。

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東川酒店の大きな特徴は、「蔵元直送」にこだわっていること。取り扱うのは地元の酒蔵から直接仕入れた酒のみであり、その真摯な姿勢が日本酒ファンを全国から呼び寄せている。店には唎酒師(ききざけし)の資格を持つスタッフがおり、客の好みやシーンに合わせて最適な一本を丁寧に提案してくれる。初めて訪れる人も安心して、自分だけの一本に出会えるのだ。

店を切り盛りするのは、女性経営者の東川宣子さん。物腰は柔らかく、素朴でいて可憐。澄み切った日本酒のような包容力を持つ女性だ。「うちに置いてあるのは、どれも御所のものばかりです」と語る口調からは、地元愛と誇りが滲み出ていた。御所縦断ウォークラリーの帰りに立ち寄り「百楽門」を購入すると、去年の「御所まち霜月祭」のパンフレットを手渡され、今年の11月もぜひと勧めてくれた。酒を売るという行為を超えて、御所の文化と季節の営みを伝えようとする姿勢に、この店の本質がある。

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棚の上には地元の誇りを伝える能面や、地域の文化を示す装飾も飾られ、「御所の酒文化の発信拠点」としての顔も持っている。冷蔵庫のガラス越しに覗く酒瓶の数々は、酒蔵の息遣いそのもの。

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御所市を訪れたなら、ぜひ立ち寄りたい一軒。東川酒店は、奈良の風土と人々の思いを瓶に託し、未来へとつなぐ場所である。

東川酒店の情報

  • 名前: 東川酒店(Higashawa Saketen)
  • 所在地:奈良県御所市西町121-1
  • 電話番号:0745-62-2335
  • 営業時間:9:00~19:00
  • 定休日:水曜日
  • 駐車場あり:7〜8台分の駐車スペースあり
  • アクセス:近鉄御所駅から徒歩5分、JR御所駅から徒歩3分

東川酒店で買ったお酒

百楽門 菩提もと 純米

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武骨で、男らしく、圧倒的な力で場を支配する。時を置くと、その硬さは和らぎ、果実のようなやわらかい甘みを見せ始める。まるで舞台上で、男役から女形へと転じる役者のように。硬派でありながら艶を失わない。

御所のいいとこ