大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

「三諸杉 ひやおろし 純米」〜秋を抱く一献、田園と都会が交差する清酒

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  • 銘柄:三諸杉
  • 土地:奈良県桜井市三輪
  • 酒蔵:今西酒造
  • 区分: 純米酒
  • 原料米:非公開(雄町のタイプもあり)
  • 原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール:15度
  • 精米歩合:65%
  • 価格:2,200円(720ml)

「三諸杉 ひやおろし 純米」は、奈良県桜井市三輪の今西酒造のブランド「三諸杉」の秋限定のお酒。ひと夏を越え、 熟成が運ぶ秋の一献。淡い光を帯びた液体が秋の夕暮れを映し、稲穂が風に揺れる田んぼの景色がふっとよみがえる。素朴で純粋、どこか懐かしさが胸に沁みる。

「ひやおろし」とは、春に搾った日本酒を一度だけ火入れ(加熱殺菌)したあと、ひと夏のあいだ貯蔵し、熟成させて秋に出荷する日本酒。

名前の由来は「ひや(常温)」のまま出荷(卸す)から「ひやおろし」になった。まろやかなコクと落ち着いた味になる。

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お酒の区分は「純米酒」。米、米こうじ、水だけを原料とし、醸造アルコールを加えないお酒なので、米本来の旨味やコク、そしてふくよかな香りを楽しめる。

 

味わい

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淡い紅葉があしらわれたラベルが印象的で、秋の訪れをそのまま映している。白地に柔らかな筆文字が涼やかに浮かび、ひやおろし特有の落ち着きと熟成感を思わせる。季節感と上品さが調和し、秋に手に取りたくなる風情豊かなデザインだ。

ひとくち飲むと、柔らかくも確かな旨味が舌の上に重層的に広がる。そのあとに訪れるのは、細やかな酸が放つ引き締まった輪郭。余韻には甘やかな光が差し込み、実りの秋を讃える調べ。

不思議なのは、時間が経つほどにその表情を変えること。一日置けば、都会の街に装いを変えるように、洗練されたフルーティーさを纏い、モダンな顔を見せる。ひとつの酒の中に、田舎と都会、素朴と洗練が共存している。

「三諸杉 ひやおろし 純米」。それは、ひと夏を越えて熟成した秋の贈り物。田園の香りと都会の洗練が交差する一献は、秋の食卓に小さな奇跡を運んでくる。飲むたびに、秋そのものを抱きしめているような感覚が包んでくれる。

 

相性の良い料理

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  • 味噌汁:フルーティーさがふくらむ
  • 豚しゃぶ:脂を洗い流し、次の一口を誘う
  • 塩ラーメン:塩気を和らげ、透明な余韻
  • 551の豚まん:肉の力強さに呼応し、酒の芯が強まる
  • 寿司:豊潤さが増し、海の旨みを際立たせる

味噌汁の湯気と寄り添えば、酒のフルーティーさが緩やかに膨らみ、心地よい緩急を描く。豚しゃぶを頬張れば、脂を清らかに洗い流し、舌を次の一口へと誘う。

塩ラーメンとは、塩気を心地よく和らげ、透明な余韻を残す。551の蓬莱の豚まんを合わせれば、肉の力強さに呼応し、酒自体の力もさらに増す。

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寿司と出会えば、その豊潤さはワインのようにふくらみ、海の恵みを一層際立たせる。

 

原料米:雄町(以前の「ひやおろし」)

原料米:雄町

「雄町(おまち)」は、1859年に岡山県で発見された、交配されていない日本古来の原生種である酒米。心白(しんぱく)と呼ばれる米の中心の白い部分が大きく、もろみの中で溶けやすいため、お酒に濃醇な旨味や深い味わいをもたらす。

日本酒のルーツとして「山田錦」「五百万石」「美山錦」と並び、「四大酒米」の一つに数えられている。稲穂が長くて倒れやすく、病害虫にも弱いため栽培が難しく、現在では岡山県を中心に栽培が復活し、多くの酒米品種の祖先となっている。

バランスが良く、リッチでエレガントな山田錦に対し、雄町は個性的で、旨みがグッとくる。日本酒マニアに好まれる酒米である。

酒蔵:今西酒造

今西酒造〜三諸杉の香り、三輪の祈りを醸す酒蔵

奈良県桜井市三輪にある今西酒造は、万治三年(1660年)創業の酒蔵で、現在は十四代目の今西将之が蔵を率いている。日本最古の神社・大神神社の門前に位置し、酒の祖神を祀る活日神社や杉玉発祥の地としての歴史を背負う。蔵の理念は「清く、正しい、酒造り」であり、三輪山の伏流水「神宿る水」と米を大切に使い、蔵元自ら田んぼに立つ。

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十四代目が継いだ当時、蔵は債務超過で荒れていたが、修行を重ね、米洗いの地道な作業を一万回以上繰り返し、酒質を高めていった。その結果、「三諸杉」「みむろ杉」は日本酒専門家や品評会で高く評価され、仙台日本酒サミットでは蔵部門・酒販店部門で4年連続1位を獲得している。山口智子、中田英寿、須藤元気などの著名人も酒蔵を訪ね、いまや全国的に注目を集める酒蔵であり、入手困難になりつつある。

「みむろ杉 ひやおろし」はチャンネル登録者数8万人を超える「サケラボちゃんねる」でも「史上最高の秋酒、ひやおろし」の一本に選ばれている。

 

 

日本酒サミットで1位に輝いた「ディオアビータ」

 

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