大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」〜千年の祈りを呑む、時を越えた発酵の調べ、清酒の原点

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  • 銘柄:三諸杉
  • 土地:奈良県桜井市三輪
  • 酒蔵:今西酒造
  • 区分:純米酒
  • 原料米:非公開(ヒノヒカリという情報あり)
  • 原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール:15度
  • 精米歩合:70%
  • 価格:1,980円(720ml)、3,960円(1.8L)

「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」は、清酒発祥の地とされる奈良市・正暦寺(しょうりゃくじ)の乳酸菌と酵母を使って仕込む純米酒。清酒の原点を現代に甦らせた一献であり、千年を超える祈りと歴史を、液体に宿らせる。

「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」

この酒は、室町時代に奈良・菩提山正暦寺の僧が考案した、日本最古の仕込み方法「菩提酛(ぼだいもと)」によって造られる。酒母(しゅぼ)と呼ばれる、日本酒造りの土台となる酵母液をつくる工程で、清酒造りの起源そのものを味わうことができる。

特徴は、生米から乳酸菌の力を借りてつくる「そやし水」を用いる点にある。雑菌を抑え、清らかな発酵を導くこの古法は、現代に蘇り新たな命を得ている。

「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」

お酒の区分は「純米酒」。米、米こうじ、水だけを原料とし、醸造アルコールを加えないため、米本来の旨味やコク、そしてふくよかな香りを楽しめる。

ボトルは、白地に力強い墨文字が映え、古刹の重みと歴史を感じさせる。両脇に描かれた僧侶の姿は、菩提酛の由来を端的に示し、宗教的な神秘性を加える。素朴でありながらも存在感があり、奈良の酒造りの源流を表現する象徴的なデザインだ。

 

「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」〜千年の祈りを呑む、時を越えた発酵の調べ、清酒の原点

ちなみに、今西酒造には、「三諸杉 木桶菩提酛」がある。「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」は、毎年1月に奈良市の正暦寺でつくられる酒母(しゅぼ)を使って造られる。

「三諸杉 木桶菩提酛」は、桜井市三輪の今西酒造の本店にある吉野杉の木桶を使い、菩提酛の製法でつくったもの。「正暦寺」はヨーグルトのような甘口で、「 木桶菩提酛」は辛口の味わいになっている。

味わい

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ひとくち飲むとヨーグルトを思わせる柔らかな酸が舌にまとわり、乳酸の息吹が生きていることを告げる。そこには、室町の僧が紡いだ古の知恵が脈打っている。

最初の一滴は、重厚。伽藍の鐘を打った直後に広がる、荘厳な余韻のごとき力強さ。その奥には、透明な清流のようなまろやかさが潜んでいる。甘みは複雑で、ただ甘いのではない。幾層にも折り重なる味わいが、ひと口ごとに姿を変える。どっしりとした重みのあと、ふっと風が抜けるような爽やかさが残り、飲む者の心を浄めていく。

 

相性の良い料理

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  • 親子丼:力強さと力強さが拮抗し、太鼓と鐘の合奏のように響き合う
  • キムチ:辛味を洗い流し、酒の余韻が優しく残り、辛さを包み込む
  • 冷奴:大豆の素朴な旨みを凌駕せず、酒のふくよかさが喉をすっと伝う
  • 炒めご飯:何気ない一皿に彩りを与え、宝石のように輝かせる

「正暦寺 菩提酛 純米」は、清酒の始まりを今に伝える聖なる調べ。時代を越えて蘇った、この一杯を口にするたび、遠い室町の僧たちの祈りの声が、胸の奥でこだまする。その調べは、料理とも響き合う。

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親子丼と合わせれば、力強さと力強さが拮抗し、太鼓と鐘の合奏のように響き合う。キムチの辛味を洗い流したあとには、酒の余韻が優しく残り、辛さを包み込む。

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冷奴に寄り添えば、素朴な大豆の旨みを凌駕せず、酒のふくよかさがすっと喉を伝う。炒めご飯と合わせれば、何気ない一皿が彩りを得て、宝石のように輝き始める。

 

原料米:奈良県産ヒノヒカリ

原料米:奈良県産ヒノヒカリ

ラベルには、原料米は「米(国産)」としか書かれていないが、過去には、「三諸杉 正暦寺 菩提酛 純米」の米は奈良県産のヒノヒカリだった。

ヒノヒカリとは、1989年に宮崎県で「コシヒカリ」と「黄金晴」を交配して育成された、西日本に多い主食用米。近年ではその味わいや特徴を活かした日本酒造りにも使われ、酒米の基準は満たさないものの、日本酒に合う風味を持つ。フルーティーな甘み、旨み、適度な酸味がバランスよく調和し、ふくよかで繊細な味わいの日本酒に仕上がる。

 

酒蔵:今西酒造

今西酒造〜三諸杉の香り、三輪の祈りを醸す酒蔵

奈良県桜井市三輪にある今西酒造は、万治三年(1660年)創業の酒蔵で、現在は十四代目の今西将之が蔵を率いている。日本最古の神社・大神神社の門前に位置し、酒の祖神を祀る活日神社や杉玉発祥の地としての歴史を背負う。蔵の理念は「清く、正しい、酒造り」であり、三輪山の伏流水「神宿る水」と米を大切に使い、蔵元自ら田んぼに立つ。

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十四代目が継いだ当時、蔵は債務超過で荒れていたが、修行を重ね、米洗いの地道な作業を一万回以上繰り返し、酒質を高めていった。その結果、「三諸杉」「みむろ杉」は日本酒専門家や品評会で高く評価され、仙台日本酒サミットでは蔵部門・酒販店部門で4年連続1位を獲得している。山口智子、中田英寿、須藤元気などの著名人も酒蔵を訪ね、いまや全国的に注目を集める酒蔵であり、入手困難になりつつある。

日本酒サミットで1位に輝いた「ディオアビータ」

 

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