大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

「鏡王女 梅酒」〜歴史に微笑む、梅のひとしずく

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  • 銘柄:鏡王女 梅酒
  • 土地:奈良県吉野郡吉野町
  • 酒蔵:美吉野醸造
  • 区分:リキュール
  • 原材料:日本酒(国産)、梅(国産)、ビートグラニュー糖
  • アルコール:8%
  • 価格:2,500円(720ml)

「鏡王女 梅酒」は、奈良県吉野郡にある美吉野醸造が造る梅酒。鏡王女(かがみのおおきみ)は額田王の姉と伝わり、天智天皇(中大兄皇子)の側室となった女性。のちに藤原鎌足の正室となったという伝承もある。『万葉集』にも和歌がある。

「鏡王女 梅酒」

桜井市・談山神社の参道にある土産店「丸松屋 紅遊茶屋」で販売されている限定酒。店では「日本一うまい梅酒」として売り出している。

「鏡王女 梅酒」

美吉野醸造の「花巴 梅酒」と同じアルコール度数は8%と低アルコール。日本酒は奈良県産の米を使い、梅は奈良県産、和歌山県産、三重県産をブレンドしていると思われる。

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描かれた女性は、鏡王女。背後に舞う鳥、鮮やかな色彩。それは歴史の人物でありながら、現代に生きる“凛とした女性像”でもある。

透明なボトルに満ちる琥珀色と、柔らかなイラストの対比。重厚ではない。だが、忘れがたい。棚に置けば、そこだけが春の色になる。贈れば、物語ごと手渡すことになる。

 

味わい

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それは、一人の女性の微笑みから始まる物語。凛として、やわらかい。強さではなく、微笑みで酔わせる。袖が翻る、梅の物語。

黄金色がやわらかく光を抱く。冬至を越えた朝、凍てつく空気の向こうに差し込む最初の陽光。鼻先に届くのは、凛とした梅の香り。甘さよりも先に、透明な酸が立ち上がる。だが口に含むと、その印象はふわりと解ける。

やさしい。

8%という軽やかなアルコールは、決して主張しない。日本酒仕込みの丸みが、梅の酸を抱きとめ、仄かな甘さがあとからそっと寄り添う。

冬から春へと移ろう季節の境目。冷たい立冬の風が、やがて花を運ぶ風へと変わる、その瞬間のようだ。

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ソーダで割ったとき、炭酸が弾ける。梅の香りが空へと舞い上がる。甘みが前に出て、酸味は軽やかに踊る。平安の庭園で、衣の袖が翻るように。この梅酒は、割ることで表情を失わない。鏡のようにもう一つの自分を映し出す。

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『鏡王女 梅酒』は、強さで圧倒する酒ではない。やわらかさで心を奪う酒だ。

一口飲めば、梅の酸が心の奥を軽く叩き、甘さがそっと撫でる。

それは、歴史の陰に立つ一人の女性が、静かに微笑む瞬間。グラスの中に、小さな春が宿る。

 

相性の良い料理

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  • ソーダ割:甘みが際立ち、炭酸のシュワシュワが心地いい
  • ピッツァ:炭酸と梅の香りが弾ける
  • ポテト:ジャンク感を消し、上品にしてくれる
  • 天理スタミナラーメン:わずかな辛みに酸味が混ざり、芳醇な甘味に変わる
  • カレー:辛味のあとに心地よい酸味が流れていく

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ピッツァは、トマトの酸味とチーズの塩気。そこへ梅の香りが重なる。炭酸割りにすれば、祝祭のように華やかだ。

ポテトは、油の重さをさらりと洗い流す。ジャンクな一皿が、一瞬で上品な軽食へと変わる魔法。

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天理スタミナラーメンは、辛味の向こう側に、梅の酸が差し込む。その瞬間、スープは荒々しさを脱ぎ、芳醇な甘味へと変貌する。

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パスタのペペロンチーノとの相性も同じく。

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カレーは、スパイスの熱を受け止め、やわらかくほどく。戦いではない。共鳴だ。辛味のあとに、心地よい酸が静かに流れていく。

 

酒蔵:美吉野醸造

奈良県吉野郡吉野町に蔵を構える美吉野醸造は、1912年創業の酒蔵である。屋号は「花巴」。紀伊山地の北端、寒暖差が大きく霧深い吉野の風土の中で、蔵付き酵母を主体とした発酵を行い、「酸を解放する酒造り」を掲げてきた。山からの伏流水、湿潤な空気、冷涼な仕込み環境といった地域特性をそのまま引き受け、再現性よりも風土性を重視する姿勢を貫いている。

美吉野醸造を象徴するのは、山廃・水酛・速醸を自在に使い分ける酒母設計と、50年以上使い続ける吉野杉の木桶仕込みである。緻密な年輪をもつ吉野杉は穏やかな通気をもたらし、酸と旨味が拮抗する立体的な味わいを形成する。地元契約農家の米と軟水を用い、急峻な山間地ならではの締まった米質を活かす点にも強いこだわりがある。

代表銘柄「花巴」を中心に、多様な仕込みと発酵表現を展開。冷酒から燗まで温度帯で表情を変える酒質は、吉野の森・水・気候を映すものとして評価を集めている。伝統的手法と現代的管理を併置しながら、地域に根差した発酵文化を探究し続ける吉野の酒蔵である。

 

談山神社

桜井の酒蔵

桜井の日本酒