
- 銘柄:音羽山
- 土地:奈良県吉野郡吉野町
- 酒蔵:北村酒造
- 区分:純米吟醸酒
- 原料米:奈良県産米
- 原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
- アルコール:17度
- 精米歩合:60%
- 価格:1,200円(300ml)
「音羽山 原酒 純米吟醸」は、奈良県桜井市の談山神社にある「横谷商店」で販売されている地酒の日本酒。製造は、吉野にある「北村酒造」が手掛けている。

談山神社では、日本酒、ワイン、梅酒などを販売しており、「音羽山 原酒 純米吟醸」も、そのひとつである。

アルコールは17度と高く、水を加えてアルコール度数を調整していない、搾ったままの状態の「原酒」である。酒本来の旨味やコク、香りが凝縮されている。

この酒は「純米吟醸」に分類される。「純米吟醸」とは、米、米こうじを原材料にし、精米歩合が60%以下のもの。吟醸造り=低温で長期間かけてゆっくりと発酵させることで、リンゴやバナナのような華やかでフルーティーな「吟醸香」を持つ。

「純米吟醸酒」は、高精米により雑味が少なくなり、純米ならではのコク、華やかでフルーティーな香りとのバランスが取れた、クリアで繊細な味わいの酒になる。

「音羽山」は、奈良県桜井市にある標高851.7メートルの山のことであり、ボトルには山の麓にある「大和 音羽山観音寺」の住職のイラストが描かれている。この寺はNHKの「尼寺日記」で人気を博し、今も全国からファンが訪れる。

ボトルのデザインは、深いコバルトブルーの瓶に、夜の山を思わせる色調。光を通すたび、酒の存在感が内側からにじみ出る。
ラベルには余白があり、文字と絵が控えめに配置されている。語りすぎない。主張しすぎない。それでいて、手に取った瞬間に「これは強い酒だ」と直感させる佇まいがある。信仰と日常のあいだに置かれた一本として、非常に完成度が高い。
味わい

ひと口含んだ瞬間、舌の上に立ち上がるのは鋭く、そして太い輪郭。原酒ならではの17度のアルコールが、甘やかさを排し、真正面から迫ってくる。それは優しい酒ではない。だが、荒々しいわけでもない。
芳醇で、重心が低く、揺るがない。音羽山の山中に分け入り、岩肌を伝って落ちる冷たい水音を聞いているようだ。飲み進めるほどに、米の旨味が層を成して現れ、最後は強い余韻とともに静かに消える。
この酒は「癒やし」ではなく、「対話」を求めてくる。水で割っても、ソーダで割っても芯が折れないのは、酒そのものの骨格が強い証。

「音羽山 原酒 純米吟醸」は、静かに寄り添う酒ではない。山のように動かず、削られ、なお強い。これは、食卓を試す酒であり、飲み手を選ぶ酒である。
相性の良い料理

- 焼き餅:醤油の香ばしさを、酒の力で一気に洗い流す
- ハッシュドポテト:芋の甘みを残しつつ、後味を引き締める
- 鶏の照り焼き:濃いタレを断ち切り、清流のような余韻へ
- 生ハム:塩味をリセットし、酒の輪郭が浮かび上がる
- チーズ:可もなく不可もなく、酒の強さが勝つ
- カレー:辛味と辛口が共鳴し、料理が一段上がる
- 味噌ちゃんこ鍋:甘味と辛さの対比が鮮明になる

焼き餅は、焦げた醤油の香りを真正面から受け止め、アルコールの力で一瞬にして口中を洗い流す。餅の余韻だけが残り、次の一口を自然に誘う。
ハッシュドポテトは、油とじゃがいもの甘みを抱え込みすぎず、しかし切り捨てもしない。酒を飲むことで、ポテトの素朴さが際立つ不思議な相性。
鶏の照り焼きの甘辛いタレは、日本酒にとって鬼門になりがちだ。だが音羽山は、タレをきれいに断ち切り、肉の旨味だけを口の中に残す。酒が「清流」になる。

生ハムは、塩気と脂を、強いアルコールが一掃する。酒の辛口が前面に出て、まるで口の中の空気が入れ替わるようだ。
チーズは。相性は悪くないが、特別でもない。この酒のスケール感に対して、チーズがやや静かすぎる。

カレーは、スパイスの辛味と、酒の辛口が共鳴することで、カレーが“料理”から“ご馳走”へと変わる。意外だが、強い相性。

味噌ちゃんこ鍋は、味噌の甘味とコクに対し、酒の辛さが鋭い線を引く。濃厚さの中に緊張感が生まれ、鍋が最後まで重くならない。
酒蔵:北村酒造

画像引用:北村酒造
奈良県吉野郡吉野町にある北村酒造は、天明八年(1788年)創業の老舗蔵で、現在は代々の名を襲名した北村宗四郎が蔵を守っている。桜の名所として名高い吉野山の麓、伊勢南街道沿いに位置し、古くから修験者や木こりたちに「吉野の霊酒」として親しまれてきた。蔵のモットーは、能の謡曲に由来する「酌めども尽きず、呑めども変らぬ」であり、時代に媚びることなく、吉野川の伏流水と厳選された自家精米を用いた基本に忠実な酒造りを貫く。

林業の町・吉野の文化を背景に、代々の蔵元は自然への敬意を払いながら、南部杜氏の卓越した技術を継承してきた。近年では最新の温度管理や丁寧な手絞りによる改良を重ね、さらなる酒質の向上を追求。その成果として、看板銘柄「猩々(しょうじょう)」は全国新酒鑑評会で幾度も金賞に輝き、県内外の日本酒愛好家や専門家から高く評価されている。修験道の開祖に因んだ「小角」などの独創的な銘柄も展開し、伝統と革新を併せ持つ吉野を代表する銘柄として、全国から熱い視線を集めている。
談山神社
桜井の酒蔵
桜井の日本酒