
- 銘柄:三諸杉
- 土地:奈良県桜井市三輪
- 酒蔵:今西酒造
- 区分:純米吟醸酒
- 原料米:非公開
- 原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
- アルコール:12度
- 精米歩合:60%
- 価格:2,490円(720ml)
「三諸杉 蔵出し限定酒 おりがらみ 純米吟醸 無濾過生原酒」は、奈良県桜井市三輪にある今西酒造が年末から正月にかけてリリースする、おりがらみの蔵出し限定酒。

「蔵出し酒(くらだししゅ)」は、酒蔵から直接出荷・販売される限定商品で、蔵で熟成・管理されたあとに瓶詰めされた酒を指す。

「おりがらみ」とは、日本酒を搾ったあと、「おり」と呼ばれる米の破片や酵母などの固形物を完全に取り除かず、うっすらと濁った状態のまま瓶詰めされた酒のこと。「おり酒」とも呼ばれ、すっきりとした味わいが多い。

この酒は「純米吟醸」に分類される。「純米吟醸」とは、米、米こうじを原材料にし、精米歩合が60%以下のもの。吟醸造り=低温で長期間かけてゆっくりと発酵させることで、リンゴやバナナのような華やかでフルーティーな「吟醸香」を持つ。

「純米吟醸酒」は、高精米により雑味が少なくなり、純米ならではのコク、華やかでフルーティーな香りとのバランスが取れた、クリアで繊細な味わいの酒になる。

さらにこの一本は、濾過も火入れも加水もしていない無濾過生原酒。まさに“そのままの息づかい”を瓶に閉じ込めたような味わい。舌に触れた瞬間に感じるピチピチとしたフレッシュ感清らかでみずみずしい余韻、生きた香味が、ストレートに届いてくる。

ボトルデザインは、 静けさの中に宿る、澄んだ遊び心。透明感な瓶に、うっすらと白く霞む酒色。そこに配された簡潔なラベルは、主張しすぎず、余白を大切にした構成は、この酒が持つ清らかさと直結している。

手書きの「おりがらみ」の文字は、蔵人の息遣いそのもの。整いすぎない筆致が、無濾過生原酒という“生身”の酒であることを静かに物語る。飾らず、誤魔化さず、今この瞬間の酒をそのまま差し出す。そんな姿勢が、デザイン全体からにじみ出ている。
これは「映える」ための瓶ではなく、「寄り添う」ための瓶。食卓の一角で、料理や会話の邪魔をせず、しかし確かに場を整える。そんな美しさが、この一本にはある。
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味わい

グラスに注いだ瞬間、細やかな泡が立ちのぼる。ラムネの王冠を外した直後のような、無邪気で軽やかな立ち上がり。口に含めば、まず柔らかな甘みが広がり、その奥で微炭酸がピチピチと弾む。アルコールは12度と穏やかで、重さや圧はなく、むしろ身体の内側をすっと解きほぐしていく。

おりがらみ特有の米の粒子が、味わいに丸みと温度を与え、単なる「軽快」では終わらない。懐かしさを帯びた甘みは、地元の夜祭で口にした甘酒やラムネの記憶を呼び起こしつつ、同時に前へ前へと進もうとする推進力を秘めている。これは、過去に戻る酒ではない。童心を連れたまま、未来へ踏み出す酒だ。
飲み進めるほどに炭酸は穏やかになり、米の旨みが静かに輪郭を現す。その変化さえも、この酒の「生きている」証拠である。
「三諸杉 蔵出し限定酒 おりがらみ 純米吟醸 無濾過生原酒」は、静かな夜に、自分を少し若く、少し素直にしてくれるためにある。
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相性の良い料理

- 焼き餅:醤油の余韻を炭酸が洗い流す
- 焼きそば:ソースの甘さと酒の甘みが共鳴
- チャーハン:塩気とほろ苦さが調和
- 漬物:酸味が酒の旨みを引き出す
- きつねうどん:出汁の甘みと酒が分離して際立つ
- 粕汁:辛口と甘口のコントラスト
- 鶏の唐揚げ:炭酸が油を弾き、後味を軽くする
- 鯖の塩焼き:清涼感が脂を整える
- 豚骨しょうゆ鍋:濃厚さを壊さず、余韻を伸ばす
この酒は、「料理を引き立てる」だけでなく、食卓のリズムを整える。重くなりがちな冬の料理を、最後まで軽やかに連れていく。その役割を自然に果たす。

焼き餅は、香ばしく焼けた餅に醤油を垂らした瞬間の、あの焦げと甘み。酒を合わせると、醤油の余韻を微炭酸がやさしくさらい、口の中が一度“更地”になる。餅の重さを残さず、次の一口を自然に呼び込む、理想的な循環が生まれる。

ソースの甘さと香ばしさが支配する焼きそばに対し、この酒は真正面からぶつからない。酒の甘みがソースと共鳴し、微発泡が後味を軽くすることで、全体が一段明るい味わいへと引き上げられる。屋台の記憶が、少し洗練されて立ち上がる。

油と塩気の層が重なるチャーハンには、この酒のほのかな苦みと清涼感が効く。焼き飯の香ばしさを一度リセットし、酒がキリッと立ち上がる。重さを引きずらず、食後に疲れを残さない組み合わせだ。
漬物の酸味は、この酒の“ヤンチャさ”を引き出す。乳酸や酢の刺激に反応するように、米の旨みが前に出てくるのが面白い。静かだった酒が、ふっと表情を変える瞬間を楽しめる。

きつねうどんは、甘い揚げと出汁の世界に、この酒を合わせると、互いが混ざり合わず、きれいに分離する。うどんはうどんとして完結し、酒は酒として輪郭を保つ。その結果、酒の旨みがよりシャープに感じられる。

粕汁は、酒粕の甘みと、この酒の辛口寄りの側面が向かい合う。似ているのに同じではない、そんな距離感が心地いい。温かい粕汁の中で、この酒は冷静さを保ち、味わいに緊張と奥行きを与える。
鶏の唐揚げは、揚げたての油を、口の中で微炭酸が弾く。ジュワッとした旨みを残したまま、後味だけを軽くするのがこの酒の仕事だ。レモンを搾らずとも、自然に次の一個へ手が伸びる。
鯖の塩焼きは、鯖の脂に対して、この酒は決して負けない。清涼感が増し、脂は重さを失い、旨みに変わる。焼き魚と酒が対等に向き合う、静かな好相性である。

豚骨しょうゆ鍋は、濃厚で甘みのある鍋に対し、この酒は壊さず、薄めず、ただ空気を通す。飲むたびに口の中に隙間が生まれ、鍋の甘みが再び立ち上がる。深夜に向かう時間帯ほど、その力がはっきりと感じられる。
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酒蔵:今西酒造

奈良県桜井市三輪にある今西酒造は、万治三年(1660年)創業の酒蔵で、現在は十四代目の今西将之が蔵を率いている。日本最古の神社・大神神社の門前に位置し、酒の祖神を祀る活日神社や杉玉発祥の地としての歴史を背負う。蔵の理念は「清く、正しい、酒造り」であり、三輪山の伏流水「神宿る水」と米を大切に使い、蔵元自ら田んぼに立つ。

十四代目が継いだ当時、蔵は債務超過で荒れていたが、修行を重ね、米洗いの地道な作業を一万回以上繰り返し、酒質を高めていった。その結果、「三諸杉」「みむろ杉」は日本酒専門家や品評会で高く評価され、仙台日本酒サミットでは蔵部門・酒販店部門で4年連続1位を獲得している。山口智子、中田英寿、須藤元気などの著名人も酒蔵を訪ね、いまや全国的に注目を集める酒蔵であり、入手困難になりつつある。
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日本酒におすすめのグラス
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今西酒造の「三諸杉」シリーズ
桜井のうまいもん