奈良の祭り
4月29日と11月3日、境内の「蹴鞠の庭」に、平安の色が降りてくる。談山神社の春は、緑で満ちている。石段を上がる前から、頭上には若葉の天井が広がる。 幹はうねり、枝は空へ伸び、その先に透き通るような新緑が重なる。光は葉を抜けて淡くこぼれ、朱塗りの…
大和の桜は、満開の瞬間より、散り始めてからのほうが記憶に残る。咲くことより、終わろうとすることのほうが、かえって季節の深さを教える。 花びらが風にほどけ、地面に薄く貼りついていくころ、三輪ではひとつの大きな祭りが始まる。 日本最古の神社・大…
「JR三輪駅 縁結び広場」は、奈良県桜井市、JR三輪駅の「駅舎」や「駅前広場」を会場にした交流イベント。 地元食材を使ったマルシェ、伝統芸能や音楽のステージイベント、ワークショップや展示など、地域情報の発信など行う。2024年10月6日からスタートし、…
暦の上では冬だが、三輪の町は、すでに3月の気配をまとっていた。空は高く、風はやわらかく、吐く息に白さはない。 ふるさとでは「初えびす」を迎えていた。 三輪恵比須神社は令和8年、金屋にあった日本最古の市場・海柘榴市がこの地に移ってから、1100年と…
11月末の桜井は、町のどこを歩いても、紅葉の色が風に揺れ、どこかで新酒の気配が杉玉から漂ってくる。季節の移ろいが、目にも鼻にも触れてくるような日々だ。そんな中、数年前にひっそりと、確かな息づかいで復活した催しがある。 三輪まちなか「つば市」 …
等彌神社の境内は、秋になるとゆっくりと体温を上げていく。木々の葉は黄から紅へと移ろい、風が吹くたびに、紙片のようにひらりと舞い落ちる。その下を歩いていると、自分の呼吸まで、いつもより深く、静かになるのがわかる。 桜井の山の懐に抱かれたこの社…
ふるさと・奈良県桜井市でもっとも大きな秋祭りが「万葉まつり」である。1975年に始まり、50周年を迎えた。今年、12年間暮らした新宿を離れ、桜井に帰郷した。10年以上ぶりに訪れた万葉まつりが、ちょうど50周年というのも、何かの縁かもしれない。 第1回さ…
10月24日。三輪の里に、神が降りてくる。 奈良盆地を覆う朝霧がまだ残る時間、大神神社の境内にはすでに人の波があった。 大神神社「秋の大神祭」は、2000年の歴史を持つ。古代、大物主大神を祀ったときから続く最古の祭儀。この日だけは、御神体である三輪…
【体験記】奈良クラフトビール祭り2025──雨の奈良公園で味わう、土地の気分と人の感性。 12年ぶりに帰郷した筆者が、ビール嫌いを越えて出会った4つの奈良の地ビール。 洞川温泉醸造所の清冽なIPA、奥大和ビールのスパイスの香り、ならまち醸造所の穏やかさ…
御所は、僕にとって特別な町だ。ふるさと桜井に次いで、思い入れが深い。大学を卒業したあと、社会という荒波に投げ出され、新庄にあるカー用品店で働いた3年間。過労死するかと思うほどの日々は、汗と叱責で魂を削りながらも、社会人としての礎を刻んでくれ…
12年暮らした新宿で、ふるさとを思い出すことは、ほとんどなかった。夏が来ても、遠く桜井の空を想像する余裕など、自分にはなかった。ただ目の前の暮らしに追われ、都市の雑踏に押し流されるようにして日々を過ごしていた。 12年ぶりに里帰りをした夏の夜、…
「おんぱら祭」は奈良県桜井市三輪にある綱越神社(つなこしじんじゃ)で毎年7月末に執り行われる例祭。8月1日の後宴祭も含めると3日間の開催となる。 祭りの運営には神社だけでなく地域も関わっており、桜井市や他の奈良県の市、地元商工会・観光協会も協賛…