大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

2025-10-26から1日間の記事一覧

磯城嶋金刺宮〜初瀬と粟原、二水のほとりの王都

磯城嶋金刺宮(しきしまのかなさしのみや)は、奈良県桜井市の初瀬川(はつせがわ)と粟原川(おおばらがわ)にはさまれた一帯に営まれたと伝わる宮である。 いまは「磯城嶋公園」として整備され、芝のひらきの中に石碑や歌碑、解説板が点在する。 初瀬川に…

柿本人麻呂「大和の国は 言霊のさきはふ国ぞ 」〜万葉集、言葉が生きる国の祈り

磯城島の 大和の国は 言霊の さきはふ国ぞ まさきくありこそ 現代訳 「しきしまの大和の国」は、言葉の霊(たま)の力が生き、幸いをもたらす国である。どうかこの国が、末永く安らかでありますように。 この歌の解釈は分かれ、「遣唐使 や旅立つ者の無事を…

風の残響・海柘榴市〜日本最古の市場と万葉の面影を追って

奈良県桜井市金屋にある「海柘榴市(つばいち)」は、日本最古の市場。奈良時代の交易・文化・交通の要衝としての役割を果たし、今は静かに眠る。 「海柘榴市」の由来と歴史的背景 海柘榴市の成立 仏教伝来と海柘榴市 小野妹子と海柘榴市:遣隋使の道の記憶 …

桜井駅〜万葉と両親のエンジン、愛を乗せた終着駅

桜井駅(さくらいえき)は、奈良県桜井市の中心に位置する交通の要衝である。JR西日本の桜井線(万葉まほろば線)と、近鉄大阪線が接続し、JR・近鉄の両方を利用できる。 明治26年(1893年)にJR(当時の国鉄)が開業し、昭和4年(1929年)に近鉄の前身であ…

そうめん處「森正」〜時を食す庭、大神神社の参道にひそむ涼の楽園

古い町並み、格子戸の向こうからは、涼やかな気配が漂ってくる。「そうめん處 森正」。看板には「そうめん庭」とあり、古びた木の質感に時代の重みが刻まれている。この門は、近松門左衛門の『冥土の飛脚』にも登場する「三輪茶屋」の門である。「奈良麻のれ…

「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」〜正岡子規、古都に響く静かな命の音

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 1895年(明治28年)、正岡子規が奈良で詠んだ歌は、日本で最も有名な近代俳句になった。 松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」よりも、もっとシンプルに情景を描写しただけの俳句が、なぜ日本人の心に響くのだろうか? 柿と鐘の…