大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

奈良の遺跡

継体天皇・磐余玉穂宮跡〜田園に眠る王都、何もないから、すべてがある

目の前に広がるのは、民家と田んぼが続く、ごくありふれた大和の田園風景だ。だがこの静かな土地には、かつて日本の中心が置かれていた。殺風景に歴史の重みと神聖さが宿る。桜井市に残る「継体天皇 磐余玉穂宮跡」は、そんな大和の原風景の中にひっそりと佇…

吉備池廃寺跡(百済大井宮・百済宮跡推定地)〜青空を映す池と、国家が揺れた時代

奈良県桜井市に、風に揺れる水面と、鴨の鳴き声が静かに響く美しい池がある。青空を映した池を、数羽の鴨が気持ちよさそうに泳ぎ、遠くには集落と山並みがやわらかく溶け込んでいる。池を周回するだけで、大げさではなく、心が洗われる。 現在の吉備(きび)…

磐余稚桜宮 — 桜の名を冠した皇居、履中天皇が愛した“桜の宮”

奈良県桜井市はヤマト王権が成立した地域である。最初、王宮は現在の金屋の「磯城(しき)」と呼ばれた地域にあり、次に邪馬台国があったと考えられる「纏向(まきむく)」に移り、その後、「磐余(いわれ)」と呼ばれる地域に移った。 聖徳太子が生まれる10…

日本芸能発祥の地 土舞台〜聖徳太子が開いた最初の国立劇場

奈良県桜井市・谷の高台に、静かに広がる小さな平地がある。紅葉の落ち葉が一面を覆い、風が吹くたびにさらさらと音を立てる。遠くには大和の山々。近くには古い城跡の気配。そこが日本芸能発祥の地「土舞台」である。 木々のあいだから射す光が落ち葉に反射…

春日神社(脇本)と脇本遺跡 〜「泊瀬朝倉宮」伝承の地

奈良県桜井市脇本の集落の奥に、静かな鎮守・春日神社がある。南向きの境内には石の明神鳥居が立ち、石灯籠が並ぶ参道の先に拝殿が見える。 拝殿の奥には檜皮葺の本殿があり、その背後には木々の生い茂る丘陵がせまる。屋根の鬼板には春日大社と同じ下り藤の…

纏向遺跡〜桜井の風は、邪馬台国から吹いている

奈良県桜井市、三輪山の北西の麓。古代の纒向(まきむく)川が運んだ土砂で形成された扇状地の上に、今から約1800年前、突然として人が集まり始めた。 弥生時代のこの地には、ほとんど人が暮らしていなかった。ところが3世紀初頭、突如として数キロに及ぶ巨…

訳語田幸玉宮〜仏と剣が交わる都、占いが導いた敏達天皇

訳語田幸玉宮(おさださちたまのみや)は、第30代・敏達天皇(びだつてんのう/在位:572〜585年)が営んだ皇居である。 百済大井宮の推定地 当初は「百済大井宮(くだらのおおいのみや)」に都を置いたが、占いの結果により磐余(いわれ)の地へ遷都したと…

小墾田宮〜桜井か、明日香か、女帝・推古天皇が治めた宮の謎

小墾田宮(おはりだのみや)は、推古天皇が治めた、日本の政治改革が始まった地である。小墾田宮は、小治田宮とも書き、飛鳥時代に推古天皇が営んだ宮殿。『日本書紀』によると、603年(推古11年)、豊浦宮(明日香村)からこの宮に遷り、聖徳太子や蘇我馬子…

泊瀬朝倉宮〜雄略天皇、谷風に響く王の声、交通と祭祀を制した都

奈良県桜井市黒崎の初瀬街道沿いに、泊瀬朝倉宮(はつせのあさくらのみや)の伝承地がある。白山比咩神社の前、国道165号線を挟んだところに案内板が立つ。初瀬谷口の集落景観の中で、古代宮都の痕跡を静かに伝えている。 『古事記』『日本書紀』は、第21代…

纒向日代宮〜3代目・ヤマト王権、景行天皇と太陽の都

奈良県桜井市穴師(あなし)の民家の一角に、纒向日代宮(まきむくのひしろのみや)跡の石碑がひっそりと建っている。細い道沿いに小さな祠と案内板が寄り添い、周囲には果樹園と畑が広がる。静かな農村の風景の中に、かつての王都の記憶が眠っている。 『日…

纒向珠城宮〜垂仁天皇の宮、相撲も埴輪も、ここから始まった

奈良県桜井市芝の田園地帯に、纒向珠城宮(まきむくのたまきのみや)跡を示す石碑が立っている。周囲はのどかな水田と小さな池に囲まれ、空が広く開けた静かな場所である。纒向珠城宮は第11代・垂仁(すいにん)天皇が都を営んだと伝わる地で、『日本書紀』…

泊瀬列城宮〜武烈天皇が築いたヤマト王権の最後の都

奈良県桜井市出雲の初瀬街道沿い、十二柱神社(じゅうにはしらじんじゃ)の境内に、泊瀬列城宮(はつせのなみきのみや)跡の碑が建っている。ここは、第25代・武烈天皇が宮を構えたと伝わる地である。 『古事記』や『日本書紀』には「泊瀬列城宮にまします」…

磯城嶋金刺宮〜初瀬と粟原、二水のほとりの王都

磯城嶋金刺宮(しきしまのかなさしのみや)は、奈良県桜井市の初瀬川(はつせがわ)と粟原川(おおばらがわ)にはさまれた一帯に営まれたと伝わる宮である。 いまは「磯城嶋公園」として整備され、芝のひらきの中に石碑や歌碑、解説板が点在する。 初瀬川に…

磯城瑞籬宮:日本最古の宮都、崇神天皇が築いた大和王権〜遥かなるヤマトの記憶

磯城瑞籬宮(しきのみずかきのみや)は奈良県桜井市金屋にあるヤマト王権の発祥の地。地元の人は愛着を込めて「しきのみやさん」と呼ぶ。 第10代・崇神天皇(すじんてんのう)が即位後に営んだ宮都とされ、「日本最古の宮都」であり、「大和王権の発祥の地」…

藤原京〜風が設計した都、大和三山に抱かれた国づくりの祈り

藤原京は、飛鳥の終章と奈良の序章をつなぐ、最初の本格的な都市。奈良県橿原市と明日香村にかかる場所にあり、南北の「条」と東西の「坊」という道路で区画された、碁盤構造を持つ条坊(じょうぼう)都市である。 天武天皇の后である第41代・持統天皇が都造…