大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

2025-11-30から1日間の記事一覧

Little Joy Crepes〜ヒマラヤの記憶は、桜井駅前のクレープに宿る

お世話になった登山家の、一番好きな食べものがクレープだった。エヴェレストへアタックする前の減量期間、クレープを我慢しなければならないのが一番つらいと言っていた。山の恐怖より、クレープ断ちの方がこたえるらしい。それを聞いたとき、なんだそれは…

粟原川〜大和の古代を流れる細い道

川を渡ることは、境界を越えることだった。「川向こうの〇〇さん」と呼ぶように、流れの向こう側は、別世界の気配を帯びる。川は国境であり、人と物が行き交う道であり、文明を運び、町を育む。 奈良県桜井市を流れる「粟原川(おおばらがわ)」は、全長7.5…

「磯城島の 大和の国に 人二人ありとし思はば 何か嘆かむ」〜大和で詠まれた孤絶の恋

磯城島(しきしま)の 大和の国に 人二人(ひとふたり) ありとし思はば 何か嘆かむ 現代訳 磯城島(しきしま)の大和の国に、あなたのような人が二人いるのだと思えるなら、私はどうしてこれほどまでに嘆くでしょうか。この国に、あなた一人しかいないから…

磐余稚桜宮 — 桜の名を冠した皇居、履中天皇が愛した“桜の宮”

奈良県桜井市はヤマト王権が成立した地域である。最初、王宮は現在の金屋の「磯城(しき)」と呼ばれた地域にあり、次に邪馬台国があったと考えられる「纏向(まきむく)」に移り、その後、「磐余(いわれ)」と呼ばれる地域に移った。 聖徳太子が生まれる10…

櫻の井〜「桜井」の名を生んだ泉、花びらが落ちた瞬間、歴史が動いた

桜井駅から南へ歩き、若櫻(わかさ)神社の石段をいくつか数えたあたりで、ふいに視界の端をかすめるものがある。 背の低い、控えめな四角い囲い。そしてその中心に、竹を編んだ蓋。落ち葉が誰かの忘れた手紙のように散らばっていて、風が吹くたびに少しだけ…

若櫻神社:「桜井」の名を生んだ丘上の古社

桜井駅から南へ歩いて10分ほど、谷の小さな丘の上に若櫻(わかさ)神社は静かに佇んでいる。ここは「桜井市」の由来となった深い関係を持つ。 参道の鳥居をくぐり、落葉を踏みしめながら石段を登ると、境内には思いがけないほど澄んだ空気が広がっている。 …