大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

2025-12-18から1日間の記事一覧

天香山神社〜神話はここで占われた、山に入る前に神に問う

奈良県橿原市。大和三山のひとつ、天香具山(あまのかぐやま)の真北、山を仰ぐように鎮座するのが天香山神社(あまのかぐやまじんじゃ)である。 創建年代は不詳。由緒書きに明確な年号はなく、ただこの場所に「在り続けてきた」ことだけが、静かに伝わって…

柿本人麻呂「ひさかたの天の香具山この夕霞たなびく春立つらしも」〜花より先に、霞が教えてくれた

ひさかたの天の香具山この夕霞たなびく春立つらしも 現代訳 久遠の空にそびえる天香久山(あまのかぐやま)。その山に夕霞がたなびいている。どうやら春が訪れたにちがいない。 歌の意味 この歌は、大和三山のひとつ「天香具山」を舞台に、目に見えぬ季節の…

稚櫻神社〜桜井の地名をめぐる静かな争点、何もない丘に残る王権の記憶

奈良県桜井市池ノ内。集落に連なる小高い丘の上に、ひっそりと鎮座しているのが稚櫻(わかさくら)神社である。 この神社は、平安時代中期に編纂された『延喜式』神名帳に記された式内社。式内社とは、朝廷から公式に認められた神社のことで、全国に約2,800…

継体天皇・磐余玉穂宮跡〜田園に眠る王都、何もないから、すべてがある

目の前に広がるのは、民家と田んぼが続く、ごくありふれた大和の田園風景だ。だがこの静かな土地には、かつて日本の中心が置かれていた。殺風景に歴史の重みと神聖さが宿る。桜井市に残る「継体天皇 磐余玉穂宮跡」は、そんな大和の原風景の中にひっそりと佇…

大来皇女「うつそみの人なるわれや明日よりは二上山を弟世とわが見む」〜山を弟として生きる、喪失を語らない喪失

うつそみの 人なるわれや 明日よりは 二上山(ふたかみやま)を 弟世(いろせ)とわが見む 現代訳 この世に生きる人間である私は、明日からは、二上山を、わが弟だと思って眺めて生きていこう。 歌の意味 右端の2つが二上山 この歌は、大来皇女(おおくのひ…