大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

粟殿坐大神神社〜二つの『おおみわ』が語る、桜井の深層と奥行き

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粟殿坐大神(おおどににますおおみわ)神社は、奈良県桜井市にある神社。日本最古の神社・大神神社(三輪)の分霊を祭る。

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桜井駅北口を出て真っ直ぐ北へ進んだ先に鎮座するが、多くの桜井市民は本社の大神神社へ参拝するため、この神社を訪れる人はそれほど多くない。

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境内には、その年の干支を描いた大絵馬が奉納される。2025年の絵馬には、祭神・大物主命(おおものぬしのみこと)の化身とされる白蛇と三輪山が描かれている。

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普段は拝殿の内部には入れず、外から中を覗くことができるだけである。

粟殿坐大神神社〜二つの『おおみわ』が語る、桜井の深層と奥行き

10月の第3土曜、日曜の秋祭りなど特定の時期だけ内部が公開される。

粟殿坐大神神社〜二つの『おおみわ』が語る、桜井の深層と奥行き

秋祭りは朝9時から12時まで。子どもが神輿を担ぎ、太鼓を叩く。一般参拝客も法被を着て太鼓を叩かせてもらえる。拝殿の中では、おみくじや、御守りが販売される。

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境内には欅(けやき)のご神木があり、毎年1月には長さ8メートルを超える綱を巻く「綱掛け祭り」が行われる。

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粟殿坐大神(おおどににますおおみわ)神社は、お伊勢参りの遥拝所にもなっており、伊勢まで行かなくてもいいようになっている。

粟殿坐大神神社の歴史

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創建の時期は不明だが、平安時代の『延喜式』に記される「桑内神社」にあたると考えられている。1909年(明治42年)には春日神社を合祀し、現在の粟殿坐大神神社となった。

粟殿坐大神神社の祭神

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粟殿坐大神神社の祭神は、大物主命、天児屋根命、金山彦命。大物主命は大神神社と同じで、国造りの神様。農業、工業、商業すべての産業開発、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、禁厭(まじない)、交通、航海、縁結びなど、世の中の幸福を増し進める人間生活の守護神。

粟殿坐大神神社〜二つの『おおみわ』が語る、桜井の深層と奥行き

天児屋根命(アメノコヤネノミコト)は、日本神話に登場する神で、中臣氏・藤原氏の祖神。天岩戸隠れの際に祝詞を奏上したことで知られ、「言霊の神」「祝詞の神」と呼ばれ、言葉の力を司る。

金山彦神(かなやまひこのかみ)は、鉱山を守護する神で、鉱業や金属に関わる信仰の中心となっている。

コラム:粟殿坐大神神社

粟殿坐大神神社

桜井の町を歩いていると、時折ふとした驚きに出会う。粟殿坐大神神社もそのひとつだ。大神神社から分霊を受けて祀られた社でありながら、同じ市内に「おおみわ」と名乗る神社がある。その事実は、ややこしい混乱を呼ぶが、この「ややこしさ」こそ、古都奈良が抱える奥行きでもある。

日本の寺社は、時代の流れとともに名を変え、合祀され、神仏習合の名残を背負いながら今日に至っている。粟殿坐大神神社も例外ではない。明治の合祀で形を変え、今に残る。境内には欅のご神木が立ち、伊勢の遥拝所としての役割も果たしてきた。ひとつの神社の中に、いくつもの顔が折り重なっている。

「本家」があり、「分家」があり、「同名の別家」がある。どこかに一本筋が通っているようでいて、実際には枝分かれし、絡み合い、ほどけることのない縄のように複雑だ。その複雑さを前にしたとき、「日本の信仰とはこういうものだ」とうなずくしかない。

粟殿坐大神神社〜二つの『おおみわ』が語る、桜井の深層と奥行き

地元の人間として、この混沌はむしろ心を躍らせる。単純明快な歴史よりも、折り重なった矛盾や曖昧さの方に、人間の営みの実像があるように思えるからだ。桜井の町に「おおみわ」という名の神社が二つあることは、決して間違いでも不自然でもない。むしろ、この地に流れ続ける信仰の複雑な地層を映す鏡なのである。

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