大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

綱越神社〜おんぱら祭りの夏をくぐる、風が通り、灯りが揺れる神社で

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綱越神社(つなこしじんじゃ)は、日本最古の神社・大神神社(おおみわじんじゃ)の摂社で、大鳥居の南側に鎮座する古社。

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1年のうち「おんぱら祭」の2日間だけのためにあると言っていい社で、宵宮祭(7月30日夕方)や例祭(7月31日午前)の神事に参列・参拝する人は、おおむね1万人前後。大勢の市民で賑わう。

綱越神社の社名

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社名の「綱越(つなこし)」は「夏越し(なごし)」が転訛したもの。「おんぱら祭」を指し、まさに一つの祭りのためにある神社。

綱越神社の歴史

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綱越神社の歴史は古く、平安時代の『延喜式神名帳』に記載され、貞観元年(859)には従五位下の神階を贈られている古社。

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昔から夏越の大祓(なごしのおおはらえ)が、例祭として行われ、通称「御祓(おんぱら)さん」と呼ばれ親しまれている。

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「おんぱら祭」の日と前日の宵宮祭の日の2日間、茅(ちがや)で作られた大きな輪が設置され、心身を清め、災厄を祓う「茅の輪(ちのわ)くぐり」を行う。

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参拝者は、上半期に身に付いた罪穢を人形(ひとがた)に託して祓い落とし、暑い夏を健康に乗り切ることを祈る。

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人形は大神神社でも購入して納められる。

綱越神社の祭神

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綱越神社は祓戸大神(はらえどのおおかみ)という祓い清めの神を祀っており、大神神社に参拝する前に身を清める場として古来重要な役割を果たしてきた。

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かつては大神神社の大神祭(例大祭)に奉仕する神職たちも、おんぱら祭りの前日に初瀬川で禊を行った後に綱越神社で祓いを受けてから本社の神事に臨んだと伝えられる。

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7月31日の例祭では、「神馬(しんめ)引き」が行われ、神様を乗せた馬が綱越神社の境内を回る。

綱越神社へのアクセス

綱越神社は、大神神社の大鳥居(高さ33.2メートル)のすぐ南側に鎮座する古社。

電車でのアクセス

JR万葉まほろば線(桜井線)「三輪駅」下車

  • 駅から徒歩約5分
  • 駅を出て大神神社の大鳥居方向へ進むと、綱越神社はそのすぐ近く

※JR「奈良駅」から約30分、「桜井駅」から1駅(約3分)

車でのアクセス

  •  名阪国道(国道25号)から
  • 「天理IC」または「針IC」から桜井方面へ

  • 奈良県道・国道169号線を南へ進み、大鳥居が見えてきたらすぐ近く

※ 駐車場は、大神神社の参拝者駐車場(無料)が利用可能

※「おんぱら祭」期間中は交通規制や混雑

コラム:おんぱら祭りと人形(ひとがた)

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綱越神社の境内は、ふだんは静かだ。風が通ると、木々がわずかにざわめく。それ以外は、ほとんど何も起こらない。

奈良・桜井の町の外れにあるこの神社が、年に2日だけ、ざわつく。

綱越神社〜おんぱら祭りの夏をくぐる、風が通り、灯りが揺れる神社で

7月30日の宵宮祭と、31日の例祭。「おんぱら祭」と呼ばれる2日間、約3万人が集まる。屋台が並び、灯籠が揺れる。提灯の赤と白が、夏の空に浮かぶ。

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地元の人は「人形(ひとがた)」に名前を書き、木箱に納める。祓うために。知らぬうちに積もったもの、ことばにできないもの、いろんなものを、紙の人形に託して。

そういうことを、かつての自分は、冷ややかに眺めていた。実際、これまでは花火の音を遠くに聞きながら、家の2階から眺めるだけだった。わざわざ出かけようと思ったことなど、1度もなかった。

けれど12年住んだ新宿を離れ、里帰りした今年、足が神社の方へ向いていた。

健康を祈りたいわけじゃない。厄災を怖れているわけでもない。その何かは、今でもうまく言葉にできない。

ただ、綱越神社には、自分ではどうにもならないものと、そっと折り合いをつけていくための静けさがある気がする。

きっと来年も、行くだろう。人形に願いを込めることはないと思う。けれど、たとえ理由がなくても、行きたいと思う。そういう祭りが、この町にはある。

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