大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

桜の町に生まれて〜春を迎える桜井市、記憶と蕾のあいだに

大和あすかびと

大和(奈良)は「吉野の桜」が有名だが、ふるさと桜井は、地名に「桜」がつく。

大和平野(奈良盆地)の厳しい冬を乗り越え、春の訪れとともに桜井の町や長谷寺、安倍文殊院、談山神社、大神神社平等寺、金屋の石仏などの史跡を彩っている。

金屋(咲きそめの道)

桜井市の桜

僕は生まれた昭和58年(1983年)は、金屋(かなや)の桜は敷島大教会(天理教)の駐車場に咲く桜が最も有名だった。次に「金屋の石仏」の前の桜がひっそりと咲く。それが平成に入って、初瀬川(大和川)が流れる河川敷にも桜が咲き、今では最も美しい金屋の桜となっている。

初瀬川の河川敷の春譚

桜井市の桜

金屋の河川敷に桜の苗木が植えられたのは平成に入ってから。地元の井戸建設の息子さんが十七歳でバイク事故で亡くなり、その追悼に植え始めたのがきっかけだった。

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この桜は「龍二さくら」と名付けられ、夜は提灯がともされる。

桜井市の桜

その後、三輪小学校の6年生も「卒業記念植樹」として毎年、苗木を植えるようになり、今では美しい桜が河川敷の春を彩ってくれるようになった。

開花前の蕾

桜井市の桜

桜井の気温は寒く、関西の中でも開花が遅い。3月20日を過ぎても蕾のまま。

桜井市の桜

桜の樹には金屋区の提灯が吊るされ、夜は明かりが灯り、ライトアップの仕事をしている。海柘榴市の提灯もある。

桜井市の桜

金屋の河川敷には仏教伝来の地の碑があり、桜を見守っている。

桜の開花

桜井市の桜

令和7年(2025年)は、3月25日に桜の開花宣言がされた。

満開には早いが、桜並木が美しいカントリーロードを作ってくれる。

桜井市の桜

開花直後の桜。瑞々しく淡い。

桜の町に生まれて〜春を迎える桜井市、記憶と蕾のあいだに

夜は提灯が灯り、夜祭のような空気に変わる。

桜の町に生まれて〜春を迎える桜井市、記憶と蕾のあいだに

ライトアップされた桜もまた、幽玄。

大和あすかびと

満開を迎えた桜。満開かどうかの見分けは花びらの真ん中が紅くなっているか。今が全盛期のサインであり、ここから徐々に散っていく。

金屋の石仏

金屋の石仏

桜井駅から山辺の道を歩くなら、最初に大きな桜と出逢えるのが、金屋の石仏(せきぶつ)。お堂には平安時代か鎌倉時代に造られた釈迦如来像、弥勒如来像が収められている。朝方には、ホトトギスがやさしい声で鳴き、空気がふわりと柔らかくなる。

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