
桜井市は、石を投げれば春日神社にあたる。少なくとも市内に10社以上ある。祀る神様も微妙に違う。

桜井の春日神社は山間にあることが多いが、江包(えっつみ)の春日神社は、初瀬川の右岸にある。

素盞鳴神社に近接し、春日神社の例祭は10月18日だが、2月11日の江包・大西の御綱(えっつみ・おおにしのおつな)の舞台のほうが有名である。

祭神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)。藤原氏の祖神であり、春日大明神とも呼ばれる。

配神として、太玉命(ふとだまのみこと)、天宇受女命(あめのうずめのみこと)武甕槌命(たけみかづちのみこと)の三柱。いずれも天照大神の岩戸開きに関わる神々であり、春日四柱。

境内社として、大海神社があり、渡津見命(わたつみのみこと)を祀る。日本神話に登場する海の神で、航海安全、漁業繁栄、罪穢れを祓うなどのご利益がある。

春日神社は10月18日の例祭よりも、「江包・大西のお綱祭り」の舞台として有名である。

2月9日、江包では男たちが藁を持ち寄り、春日神社で雄綱(おづな)を作る。直径約2m・長さ4mの大きな円錐形で、重さは600kgにもなる。雄綱は「男性の象徴」。大西からは区長と仲人役が見学に訪れ、江包側は酒でもてなす。

翌10日、大西では市杵島神社で雌綱(めづな)を作る。こちらは舟形で長さ5〜6m、尾は約100m。雄綱の大きさを見たうえで、翌日に合わせて作るのが習わしとなっている。
祭り当日の11日朝、大西では市杵島神社で参拝して雌綱を担ぎ出し、江包でも春日神社から雄綱を担ぎ出す。道中では両地区とも結婚・新築など慶事の家を回り、酒や料理でもてなされる。途中の田では綱の尾を円形に置いて即席の土俵を作り、男たちが泥まみれで相撲を取る。泥がつくほど豊作になるとされている。

大西側が先に素盞嗚神社へ到着し、雌綱を榎の古木に掛けて雄綱を待つ。一方、江包側は泥相撲でわざと遅れ、大西の仲人が「そろそろ行かなあかんで」と七度半呼び使いするのが習わし。正午すぎ、ついに雄綱が到着し、神社で「入舟の式」を行い、雄綱と雌綱は結び合わせられる。
最後に、雄綱の尾は東側の樹へ、雌綱の尾は綱掛橋を渡って川向こうの樹へ結ばれ、5月中旬までそのまま残される。いつか、この目で見たい祭りである。
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桜井市の春日神社